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ICU 国際基督教大学

大学卒業後、東京の設計事務所で働いていたとき 
ICU、国際基督教大学の施設設計にかかわっていた
最近は 皇室関連で ICUは有名になったが・・・!
今年3月 ICUの成り立ちをまとめた 「ある土地の物語」 が出版された
その当時は 目の前の仕事をすることで 精一杯で
大学の歴史について まったく興味はなかった
この本を読んで それは単に大学沿革の歴史にとどまらず
建築、歴史、キリスト教教育 などの分野においても 有意義であることがわかった

映画「風立ちぬ」で戦争中の軍用機制作の様子が話題になったが
その舞台になった三菱重工は知多半島にあった
同じころ同じような飛行機工場が 三鷹、調布など 
東京西部にもたくさんあったようだ
その一つの中島飛行機三鷹研究所跡地が新たな学校の候補地になるが
戦後すぐの復興もままならない時期に なぜ
このような事業が決行されたか 疑問がわいた
実はその頃 北米外国宣教協議会は戦争で途切れた日本のキリスト教関係者との
関係再構築を目指す中でキリスト教学校の中心となる大学設置に意欲的であった
詳しくはわからないが 「日本の政財学界あげて未曾有の大募金運動」
が行われ、アメリカでも相当額の寄附金を集めた

大学の建設がスタートする頃 主任建築家としてヴォーリズが候補に挙がった
ヴォーリズといえば関西学院大学、神戸女学院大学などの
美しいキャンパスの設計で有名だが、
ICU創立にあたり、建築家の集大成として建学に係ったことはあまり知られていない
この本で これらの事を知り 大変驚いた
ICUのキャンパスにはそれまでイメージしていたロマンチックな
ヴォーリズらしさは全くなかったから
それもそのはず この時期 資金がない中での大学建学なので
中島飛行機の本館だった施設をリノベーションしての急ごしらえの学校となった 

私の師匠の稲冨はICUの新たな建築が徐々に進む中で担当者として赴任した
その後アメリカに留学した後、ヴォーリズ亡きあとの新たな顧問建築家となって
再びICUに関わるようになった(1963年ころ)
私が働いていた時期はその最期の建物の建設時期であった

この本が出版されるまで ヴォーリズ事務所在任中の
稲冨の仕事に関しては全く知らなかった
私が在任中はアメリカで影響を受けた多くの建築家の話を
よく聞かせてもらった  いや 聞かされていたのかも 
今回稲冨が建築の設計の進め方においても 人としてのヴォーリズにも
少なからずの影響を受けていたことが よくわかった
そして それは 知らず知らず 私たちの事務所の方向性にも
大きな影響を与えたことがわかり
言葉に表せない感動を覚えている

残念ながら今年の1月に91歳で亡くなった 稲冨と
これらの事について語り合うことが出来なかったことが 残念でたまらない
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映画会

ここ3年ほど 地域住民のサロン活動をサポートしている

私の担当は最近は映画会の作品のセレクトである

これがなかなか楽しい

毎回2~30人位の人が来てくれるが 「よかったね」といわれると

ホクホクしてしまう

皆が楽しめる映画というのは なかなかなくて

楽しくて、世の中の事を考えるきっかけになり、 ちょっぴり涙と笑いが

しかも上品で  となると  ハードルは高い

が めげずに 探している そこでいろいろと 広がることもある

今年のはじめは 「わが母の記」 を選んだ

樹木希林さんが亡くなったこともあり もう一度じっくり見てみたいとも思ったので

これは井上靖のお母さんとの 思い出 特に最後の何年かの 思い出が主体

その映画の中で「土蔵のおばあさん」 と少し認知症気味の母が 何度かしゃべっていた

そうか、あれは「しろばんば」のおばあちゃんだ と急に懐かしくなり

もう一度読んでみることにした そこで早速図書館です

高校生の頃井上靖を一時よく読んでいた

最近は文庫本もリニューアルされていて

昔より気のせいか 字が大きくなって読みやすい

内容は かなりの部分は忘れていたが

今読むと 登場人物の一人一人に対して 気持ちがよくわかり

とってもいい小説だと 改めて感じ入った

井上靖の「よど殿日記」で初めて歴史小説の面白さに目覚め

それ以降、いろいろと読むきっかけになった

内容は忘れてしまったが 敦煌など中国物や 少し軽めの恋愛ものなどよく読んだ

いい小説というのは 何度読んでも その時の自分の中身に呼応するようだ

今は 「あすなろ物語」を読んでいるが 「氷壁」など 名作に再チャレンジしてみよう

そうそう、映画の話でした

今年は洋画もいくつかセレクトした

ダスティン・ホフマンと エマ・トンプソンの「新しい人生のはじめかた」

車いすの大金持ちと黒人の介護者の交流を描いた 「最強のふたり」

ヘレン・ミレンの「カレンダーガールズ」、 ロバート・デニーロの「マイインターン」

等々、どれも楽しめたようだ

邦画では 市原悦子の「しゃぼん玉」 新垣結衣の「くちびるに歌を」なども大好評

何度か見ても また涙してしまう

さあ、そろそろ来年のセレクトをする時期になった

まず初っ端は「ボヘミアン・ラブソディ」 を やろうと

みんなで盛り上がっていま~す!


 

陳腐化しないデザインを考える

設計事務所も経年変化をすることをつくづく感じる

新しいクライアントは減ってくるが

それまでの蓄積したクライアントとの関係性は 

非常に複雑になってくる

そして 経年変化した建物のメンテナンスの依頼は

確実に増えてくる

年頭に築28年のクライアントから連絡があり、訪問した

最近長らく会っていなかったので 思わず手を取り合って

なつかしんだが いつしか 家を建てていた当時に

タイムスリップしてきた・・・・

当時から家を 大変きれいに使ってくれる家族であるが

これだけ時間がたって 多少の変化はあるが

ほぼ当時のままで維持されていることに 感動を覚えた

打合せの頃から 時にお酒を飲みかわし

納得しないことは 何度もやり直し かなりの時間をかけたと

記憶する

しかし、丁寧に時間をかけ、 クライアントの希望を満たすだけでなく

先々の 経年変化もある程度見据えていたので

今見ても 熟成した感はあるが デザインの古びた感はない

余りに時代のはやりに迎合した建物は ある時 どうしようもなく

陳腐に見えてくるものである

自分の事はいろいろ言い訳がましく 認めにくいものであるが

他人の建物をみると その流行遅れ感を著しく感じる

しかし 時代の流れは 不思議なもので ある時とても古臭く感じたものが

またしばらくたつとそうでもなくなることもある

何度か時代の波を超え なおかつ 今の時代にふさわしいものは

普遍性があり、古典になりうるのだろうと思う

明治、大正、昭和初期のものは ある意味 いるだけでありがとう 

という気持ちもあるが  欧米では 100年なんてまだ新しい

最近新しい建築を見るよりも 古いものをめでる傾向にあるのは

ただ古ければよいのではなく

どういう要素が 時代を超えられるのか 探ってみたいのかもしれない

本―映画―音楽 の輪廻

先日 久しぶりに会った 娘が買ったという本をぱらぱらめくった

面白そう と帰ってから早速図書館で借りた

それは 谷口吉郎 の「ゆきあかり日記 せせらぎ日記」 というもの

タイトルから想像すると 金沢の事が書かれているかと思いきや

実は第二次世界大戦直前、1935年頃のベルリンの話だった

建築家の谷口は ベルリンの日本大使館建設の監理者として赴任したが

ちょうどヒットラーの全盛期のベルリンが舞台で

なんだかドキドキする・・・シチュエーション

ベルリンでの下宿先での話や 仕事の合間に町を歩いたり

オペラを鑑賞したり という話で その頃のベルリンの建築や町の様子が

書かれている

せせらぎ日記のほうは戦時中で工事がはかどらず 仕事がないとき訪れた

パリやイタリア、ウイーン、北欧 などなど の旅行記だった

この時期 ヒットラーは現代建築を 敵対視し バウハウスも閉鎖され

グロピウスやミースなどバウハウス関連の建築家は アメリカに亡命した

歴史の本でなんとなく知っていたが その時期 リアルにその場にいた

体験記、しかも建築家の書いたものなので 大変興味深い

谷口吉郎の書物は初めてであったが 文章もうまいということもわかった

建築家らしく、論理的で無駄な物が無く しかも興味を持っているものに

共通点があるので 分厚い本であったが 飽きることなく 一気に読んでしまった

旅行記やエッセイは 共通の興味がないと 意外とつまらなかったりするものだが

今、手元にないが  買うべきだったか・・・ 


ついでに 以前娘がいいよと言っていたDVDを見たこともあげよう

「善き人のためのソナタ」 という、 1984年頃の東ドイツのはなし

DDRのシュタージ という 秘密警察のような 国家体制組織に所属する主人公と

一般人の作家の交流を題材にした内容だった

とてもよかったと感激したが 内容がもうひとつ理解できなくて

解説をいろいろ読んで さらに もう一度みた

「善き人のためのソナタ」というタイトルは 日本でのものであるが

それはベートーヴェンの「熱情」のことで レーニンが このソナタを聞く人に

悪い人はいない というようなことを言ったことに由来するらしい

そこで我が家のCDの中から ベートーヴェンの ソナタ集をみつけ

{月光、悲愴、熱情の3大ソナタ集があった!!}  何度も聞いてみた

最近、聴くことがなかったが 有名な曲なので よく知ってはいるが

改めて 聴いてみると その奥深さに 感銘した

本―映画―音楽― がこうして繋がっているいて、 繰り返し見たり聴いたりすると

またまたその深さに はまり込んで と 気持ちが豊かになる日日であった




ヒュッゲ について

ちょっと久しぶりのブログです

1月のある日、建築士会の講習で家具のお話がありました

デンマークの家具を扱っている方のお話しで まず デンマーク人の暮らしについて

「HYGGE」 ヒュッゲ という言葉ではじまりました

これはデンマークの人の暮らし方を象徴している言葉で 他の国の言葉には

置き換えにくいらしく

「人と人とのふれあいから生まれる 暖かな居心地のよい雰囲気」

という感じが近いらしく、デンマークの個性を形成している言葉です

その話を聞きながら そういえば 今のわたしも そういうことを目指しているなと

改めて感じました

競争するでもなく、お金もうけに走るでもなく

あるもので それなりに満足する暮らし・・・

家族がともにいて、食卓を囲み たわいないおしゃべりを楽しみ

お互いの興味のあることを披露しあい、相槌を打ったり、共感したり・・・

その興味の範囲は文化的なことや暮らし方の工夫など

人を傷つけない話題・・・

それはある程度の年齢に達し 欲が無くなり 残り少ない人生を

いとおしく感じられるようになったからかな  と 思う

最近の日本人の様子を見ていると

かつてのように 近所付き合いがなく ネットでつながった

人間関係で不安を隠せない

どうしてこうなっちゃったんだろうねと 考えてみるが

私の回答は やはり アナログ的な関係を大事にしないからかな と

いうことに尽きる

たとえば 知らない街で ランチでも というとき

今なら スマホで検索して よさそうなところに辺りをつける

でも、私は出来るだけ 歩きながら 「この店 よさそうかも」 という

直感で入ってみる

こういうことを繰り返していると 意外と 臭覚が鍛えられ

大きな失敗はない まあ、たまに失敗しても

それを糧にしようとする 転んでもただでは起きない根性がつく

人間は失敗からしか 学べない と誰かが言っていたけれど

つくづく 感じ入る

昨年末 夫と「ボヘミアン ラブソディ」 を見ようと 出かけた

ところが 上映時間を間違え アウト! ひょっとして 別の映画館であるかも

と栄から名駅に移動して 探してみたが やはりアウト こんなとき

スマホで検索すれば みられるんだよね と自分で自分を笑ったが

二人で まあいいっか となり それならば デパートで 「北欧展」をやっているよと

夫を誘ってみたら 意外と 「そだね!」 となって 楽しんだ

まあ、こういうことも 計算どうりでは できないね と なった

後日 この映画 伏見のミリオン座であることを発見、 なじみの映画館なので

ホイホイ出かけ、感動して クライマックスでは 涙が 止まらなかった

 

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