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陳腐化しないデザインを考える

設計事務所も経年変化をすることをつくづく感じる

新しいクライアントは減ってくるが

それまでの蓄積したクライアントとの関係性は 

非常に複雑になってくる

そして 経年変化した建物のメンテナンスの依頼は

確実に増えてくる

年頭に築28年のクライアントから連絡があり、訪問した

最近長らく会っていなかったので 思わず手を取り合って

なつかしんだが いつしか 家を建てていた当時に

タイムスリップしてきた・・・・

当時から家を 大変きれいに使ってくれる家族であるが

これだけ時間がたって 多少の変化はあるが

ほぼ当時のままで維持されていることに 感動を覚えた

打合せの頃から 時にお酒を飲みかわし

納得しないことは 何度もやり直し かなりの時間をかけたと

記憶する

しかし、丁寧に時間をかけ、 クライアントの希望を満たすだけでなく

先々の 経年変化もある程度見据えていたので

今見ても 熟成した感はあるが デザインの古びた感はない

余りに時代のはやりに迎合した建物は ある時 どうしようもなく

陳腐に見えてくるものである

自分の事はいろいろ言い訳がましく 認めにくいものであるが

他人の建物をみると その流行遅れ感を著しく感じる

しかし 時代の流れは 不思議なもので ある時とても古臭く感じたものが

またしばらくたつとそうでもなくなることもある

何度か時代の波を超え なおかつ 今の時代にふさわしいものは

普遍性があり、古典になりうるのだろうと思う

明治、大正、昭和初期のものは ある意味 いるだけでありがとう 

という気持ちもあるが  欧米では 100年なんてまだ新しい

最近新しい建築を見るよりも 古いものをめでる傾向にあるのは

ただ古ければよいのではなく

どういう要素が 時代を超えられるのか 探ってみたいのかもしれない

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本―映画―音楽 の輪廻

先日 久しぶりに会った 娘が買ったという本をぱらぱらめくった

面白そう と帰ってから早速図書館で借りた

それは 谷口吉郎 の「ゆきあかり日記 せせらぎ日記」 というもの

タイトルから想像すると 金沢の事が書かれているかと思いきや

実は第二次世界大戦直前、1935年頃のベルリンの話だった

建築家の谷口は ベルリンの日本大使館建設の監理者として赴任したが

ちょうどヒットラーの全盛期のベルリンが舞台で

なんだかドキドキする・・・シチュエーション

ベルリンでの下宿先での話や 仕事の合間に町を歩いたり

オペラを鑑賞したり という話で その頃のベルリンの建築や町の様子が

書かれている

せせらぎ日記のほうは戦時中で工事がはかどらず 仕事がないとき訪れた

パリやイタリア、ウイーン、北欧 などなど の旅行記だった

この時期 ヒットラーは現代建築を 敵対視し バウハウスも閉鎖され

グロピウスやミースなどバウハウス関連の建築家は アメリカに亡命した

歴史の本でなんとなく知っていたが その時期 リアルにその場にいた

体験記、しかも建築家の書いたものなので 大変興味深い

谷口吉郎の書物は初めてであったが 文章もうまいということもわかった

建築家らしく、論理的で無駄な物が無く しかも興味を持っているものに

共通点があるので 分厚い本であったが 飽きることなく 一気に読んでしまった

旅行記やエッセイは 共通の興味がないと 意外とつまらなかったりするものだが

今、手元にないが  買うべきだったか・・・ 


ついでに 以前娘がいいよと言っていたDVDを見たこともあげよう

「善き人のためのソナタ」 という、 1984年頃の東ドイツのはなし

DDRのシュタージ という 秘密警察のような 国家体制組織に所属する主人公と

一般人の作家の交流を題材にした内容だった

とてもよかったと感激したが 内容がもうひとつ理解できなくて

解説をいろいろ読んで さらに もう一度みた

「善き人のためのソナタ」というタイトルは 日本でのものであるが

それはベートーヴェンの「熱情」のことで レーニンが このソナタを聞く人に

悪い人はいない というようなことを言ったことに由来するらしい

そこで我が家のCDの中から ベートーヴェンの ソナタ集をみつけ

{月光、悲愴、熱情の3大ソナタ集があった!!}  何度も聞いてみた

最近、聴くことがなかったが 有名な曲なので よく知ってはいるが

改めて 聴いてみると その奥深さに 感銘した

本―映画―音楽― がこうして繋がっているいて、 繰り返し見たり聴いたりすると

またまたその深さに はまり込んで と 気持ちが豊かになる日日であった




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